「鉄壁の保持こそ静寂の鍵」—21セルテートSW ベアリング6点リフレッシュ整備—
- 山 リールベース
- 13 分前
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■ リール名と概要
モデル名: ダイワ 21セルテートSW
特徴: フルメタルモノコック(MQ)構造による高剛性&防水性能を誇るSW専用モデル。
オフショア・ショアジギング双方に対応し、「粘りと静寂」を両立した名機。
■ 症状
使用歴に伴いゴロつき・回転抵抗を感じるとのご依頼。
特にピニオンギア部とドライブギア支持部のベアリングが摩耗しており、
内部で「芯ブレ」や「金属同士の当たり音」が発生している状態。
■ 交換パーツ
ベアリング計6点
ラインローラー部 ×1
ピニオンギア上下 ×2
ドライブギア左右 ×2
必要に応じてシム/Oリング/防錆グリスを再調整
■ 原因解析:ベアリングが摩耗するメカニズム
ベアリングは小さな鋼球が回転を支える“静かなヒーロー”。
しかしその命を削る要因は、実は身近に潜んでいます。
1️⃣ 塩分と砂の侵入
ソルト使用では、微細な砂や塩結晶が研磨剤のようにベアリング内部を削る。
ラインローラー部は特に外気に近く、影響を受けやすい部位。
2️⃣ 潤滑切れ
グリスが乾くと、金属同士が直接こすれ合い表面が焼け・傷つく。
ピニオン下部やドライブ左右のような高荷重部位では進行が早い。
3️⃣ 保持精度のズレ
ベアリングを支える座面が歪んでいたり、シムが合っていないと、
片当たり→点接触→偏摩耗を引き起こす。
このわずかなズレが、巻きの“ザラつき”に直結。
4️⃣ 振動による微動摩耗(フレッティング)
走行中や持ち運び中でも内部ではわずかに擦れが起こる。
油膜が薄い状態では、酸化→微錆→ザラつきの悪循環に。
■ 保持部の重要性
各ベアリングは“ただの回転支点”ではなく、
リール全体の静粛性とトルク感を支える要の構造体。
ラインローラー部: 糸ヨレ防止の最前線。ここが傷むとライン摩耗に直結。
ピニオン上下: ローター軸を正確に保ち、巻きの“芯”を決定づける。
ドライブ左右: 負荷を左右で受け止め、ギアの噛み合い精度を維持。
つまり「どんなに良いベアリングを入れても、**支え方(保持精度)**が悪ければ性能は引き出せない」。
ここがプロ整備の最大のポイントです。
■ 整備内容
完全分解&洗浄(超音波+手洗い)
ハウジング・座面点検: わずかな変形や当たり痕を修正
ベアリング6点交換&選別取付
シム調整による芯出し作業
高耐荷重グリス+軽粘度オイルの適所潤滑
最終回転測定/トルク確認
→ 静粛性を取り戻しつつ、負荷下でのトルク伝達を最適化。
■ 歴代モデル・現行比較コラム
テーマ:セルテート vs セルテートSW —「粘りのセルテート」と「剛のセルテートSW」

まとめると、SWは“パワーと防御力”、ノーマルは“軽さと繊細さ”。
今回のようにSWのベアリングを定期的に整えることで、その「剛の巻き心地」を長く維持できる。
■ まとめ
21セルテートSWは、タフな現場を想定した“剛の象徴”。
しかし、その内部で支えるのはミクロン単位のベアリング精度。
保持部の歪みや潤滑切れが少しでも起きると、途端に静寂が失われてしまう。
今回の6点交換で、再び**“セルテート本来の粘りと静けさ”**を取り戻しました。
定期整備で“鉄壁の保持”をキープしていきましょう。








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