【そのゴリ感、本当にギアが原因ですか?実は”ピニオンギア”が巻き心地を左右している話】
- ReelBase YAMA
- 7月2日
- 読了時間: 4分
「最近リールがゴリゴリする。」
オーバーホールをご依頼いただく中で、最も多いご相談のひとつです。
すると多くの方はこう言います。
「ギアが摩耗しましたか?」
もちろんギア摩耗が原因のこともあります。
しかし実際のメンテナンス現場では、ギア以外が原因でゴリ感が発生しているケースが非常に多いのです。
今日は、その中でも特に重要な「ピニオンギア」について解説します。
結論
ゴリ感=ドライブギアの摩耗とは限りません。
実は巻き心地を大きく左右するのは、
ドライブギアを支えている”ピニオンギア”の状態です。
この部品が少しでもズレたり、ベアリングが傷んだりすると、新品同様のギアでもゴリ感が発生します。
つまり、メインになるドライブギアだけ交換しても症状が改善しないことがあるのです。
理由
スピニングリールには大きく分けて2つのギアがあります。
ドライブギア(ハンドル側)
ピニオンギア(スプール軸側)
ドライブギアはハンドルの回転を伝え、
ピニオンギアはその力をローターへ伝達します。
つまり、
両者が正確に噛み合って初めて、滑らかな巻き心地が生まれます。
ここで重要なのが、
ピニオンギアは単独で存在しているわけではなく、
前後に配置されたベアリングやカラーによって、わずか0.01mm単位で位置決めされています。
この支持部分が摩耗したり、
ベアリングがガタついたりすると、
ギア同士の当たり方が変わります。
すると、
ゴリ感
コリ感
シャリ感
一定周期の違和感
が発生します。
つまり、
ギアが悪いのではなく、ギアの姿勢が悪くなっていることがあるのです。
具体例
以前メンテナンスしたSWリールで、
お客様は
「ギア交換ですね。」
とおっしゃっていました。
しかし分解すると、
ドライブギアは非常にきれい。
原因は、
ピニオンギアを支えるベアリングの塩害でした。
ベアリング内部が腐食し、
わずかに回転が渋くなったことで、
ピニオンギアが正常な位置を保てなくなっていました。
新品ベアリングへ交換し、
クリアランスを調整すると、
ゴリ感はほぼ解消。
ドライブギア交換は必要ありませんでした。
(完璧なラインに戻すにはドライブギア交換が必要)
もし最初から
「ゴリ感=ギア交換」
と決めつけていたら、
数万円かかる修理になっていたかもしれません。
初心者が勘違いしやすいポイント
リールは、
音や感触だけでは故障箇所を判断できません。
例えば
ゴリ感
必ずしもギアではありません。
ピニオン支持部
ベアリング
ローター変形
ボディ歪み
でも起こります。
シャリ感
ラインローラーと思われがちですが、
ピニオンベアリング
オシレート機構
ローターナット周辺
が原因の場合もあります。
巻き重り
グリス不足だけではありません。
グリス過多
ドラグの締め過ぎ
ベアリング固着
シール抵抗
など様々な原因があります。
つまり、
症状だけで故障箇所を決めつけることが、一番危険なのです。
プロはどこを見ているのか?
ReelBaseYAMAでは、
リールを分解した瞬間から、
ただ部品交換を考えることはありません。
まず確認するのは、
ベアリングの回転抵抗
ギアの当たり面
摩耗方向
接触痕
グリスの状態
ボディ剛性
シャフトの曲がり
クリアランス
など、
原因を一つずつ切り分けながら診断します。
だからこそ、
本当に交換が必要な部品だけを見極めることができます。
これは費用を抑えるだけでなく、
本来の巻き心地を長く維持することにもつながります。
まとめ
ゴリ感の原因は、必ずしもギアではありません。
ピニオンギアの支持精度やベアリングの状態、ボディの剛性、クリアランスなど、さまざまな要素が積み重なって巻き心地は決まります。
リールは精密機械です。
一つの症状に対して一つの原因とは限らず、複数の要因が重なっていることも珍しくありません。
ReelBaseYAMAでは、表面的な症状だけで判断せず、構造を理解したうえで原因を突き止める診断を大切にしています。
「ただ部品を交換する」のではなく、「なぜその症状が出たのか」を追求し、一台一台に最適なメンテナンスを行うこと。
それが、ReelBaseYAMAが目指す本当のオーバーホールです。


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